テレワーク時代の営業改革(前編)

アクセス埼玉9月号(埼玉中小企業産業公社発刊)掲載記事にて掲載(執筆:藤崎健一


急増するオンライン商談

急増するオンライン商談

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、オンライン商談を実施する企業が急増しています。調査会社の株式会社アイ・ティー・アールが製造業、サービス業、通信業に従事する1,370人を対象とした調査資料によると、コロナ以前からオンライン商談を実施していた企業の割合は13%でしたが、コロナ以降にオンライン商談を実施し始めた企業が20%となり、全体で33%まで増加しました。

コロナ以前からオンライン商談を実施していた企業の割合は13%でしたが、コロナ以降にオンライン商談を実施し始めた企業が20%となり、全体で33%まで増加しました。

さらに、今後オンライン商談を実施予定と回答した企業が32%となっており、実に、約3分の2の企業は対面商談からオンライン商談へシフトすることになります。

ところが、オンライン商談へシフトしても営業成果は上がっているとはいえません。オンライン商談システムの開発・販売事業を行う、ベルフェイス株式会社が経営者・営業職1,000名に実施した「オンライン商談に関する実態調査」によると、「商談数が増加した」は8.7%、「受注・成約率のアップ」の回答はわずか6.7%となっています。対面商談からオンライン商談へのシフトが容易ではないことが浮き彫りになりました。

「商談数が増加した」は8.7%、「受注・成約率のアップ」の回答はわずか6.7%となっています。対面商談からオンライン商談へのシフトが容易ではないことが浮き彫りになりました。

「御用聞き営業」と「オンライン営業」の違い

「御用聞き営業」と「オンライン営業」の違い

ところが、オンライン営業では、商談前のお客様との接点量が圧倒的に少ないのです。不要不急の面談が困難になり、お客様との接点が希薄です。電話をしてもお客様は在宅勤務で不在ですので、お客様の状況や課題を聞き出す機会が減少しています。

お客様への理解が浅い中で提案せざるを得ませんので、提案の質が下がることになります。当然ながら、お客様からのリクエストももらえません。このような状況下でのオンライン商談は失敗します。

従来の「御用聞き営業」と「オンライン営業」の違いは、お客様とのコミュニケーション量の差です。お客様とのコミュニケーション量が多ければ営業機会は多くなり、コミュニケーション量が少なくなれば営業機会は減少します。

「オンライン営業」成功させるポイント

オンライン営業時代では、営業人数が少ない中小・ベンチャー企業が、大手企業に匹敵する営業力を持つことができる可能性があると、私は考えています。

従来の営業環境下では、営業の人数が多いほど、御用聞き営業できる機会は多かったのです。営業の人数に比例し、お客様との接点が多くなり、営業に蓄積されるお客様の情報量も多くなりますので、数の論理がモノをいいます。

しかし、対面営業に依存できなくなった今、営業の数の論理でなく、コミュニケーションの量とお客様から入手する情報量こそが商談量を左右します。

つまり、お客様とのコミュニケーション、接点の量と質とが「オンライン営業時代」の勝敗を分けるポイントと言っても過言ではありません。お客様状態を深く知っている方が、お客様に近い方が、力を持つ時代になっています。

1980年代に流通業界でも同様の現象が起きました。店頭にPOS(販売時点情報管理)が普及し始め、メーカー主導だった市場形成は、コンビニエンスストアが主導権を握り始めました。POP広告の出し方、棚の配列にとどまらず、値付けや商品企画に至るまで、コンビニエンスストアが影響力を持つようになりました。お客様との接点の量を圧倒的に多くし、お客様の情報を握ったことにより、お客様のことを良く知ることができるポジションを取ったのです。

米国で進むオンライン営業と営業の分業化

米国で進むオンライン営業と営業の分業化

米国では、営業業務の分業化が進んでいます。

米国は日本と比べて国土が広大なため、毎回お客様の元へ訪問して商談をすることが難しいといわれているものの、経済合理性を追究するお国柄故、労働生産性を高める手段として、営業業務の分業化が最適解だったのだろうと、私は考えています。

お客様との接点づくりは、営業担当よりも専門性ある「オンライン営業」の方が、増量できるし質も高くなり、スピードも上がります。

例えば、営業個人がお客様とやり取りできるメールの量には限界がありますが、オンライン営業がITを駆使し情報発信すれば、数十倍、数百倍の対応量を実現できます。お客様からヒアリングする情報の質や量においても、同様です。

リーマンショック以降、毎年米国では80万人のオンライン営業の雇用を生み出したといわれています。米国の営業職570万人のうち、オンライン営業に従事する人は47.2%という結果が出ています。この傾向はヨーロッパでも同様です。(参考:経済誌フォーブスに掲載されたInsideSales.com社の記事)

ところが、日本での「オンライン営業」の導入状況は非常に低いのです。前述した通り「オンラインでの商談」を実施する企業は33%ですが、営業業務を分業化し、従業員数100名未満の会社では、「オンライン営業」を導入している会社は、わずか5.3%にとどまっています。以下は、営業管理システムを提供している株式会社セールスフォース・ドットコムが2019年5月に実施したアンケート結果です。

従来の「御用聞き営業」と「オンライン営業」の違いは、お客様とのコミュニケーション量の差です。お客様とのコミュニケーション量が多ければ営業機会は多くなり、コミュニケーション量が少なくなれば営業機会は減少します。

営業業務のうち、お客様との関係づくりを目的とする「オンライン営業」不在の中で、「オンラインの商談」を実施しても、上手くいきません。

営業業務のうち、お客様との関係づくりを目的とする「オンライン営業」不在の中で、「オンラインの商談」を実施しても、上手くいきません。

今後の日本の営業は、欧米と経緯こそ異なれど、コロナを機にオンライン営業と営業の分業化へシフトする時代になります。

後編では、オンライン営業を導入した中小企業の事例をご紹介します。

次項概要

テレワーク時代の営業改革(後編)

  • オンライン営業に取り組む昇降機メーカー
  • コミュニケーションの基盤となるリスト整備
  • 御用聞き営業の具現化
  • 商談取りこぼし防止と商談機会の拡大
  • オンライン営業の将来像
  • 今やっておくべきこと

次項

コラム執筆者


インサイドセールスの専門家

インサイドセールス なら

対面の営業がやり難くてお客様との接点が減ってませんか?

藤崎 健一(フジサキ ケンイチ)

株式会社カレン 代表取締役

株式会社カレンにて、お客様との関係性を構築・強化する「Eメール・マーケティング」「ブログ・マーケティング」等のサービスを開発・提供。対面営業がし難い環境下でもお客様との接点を作り、関係づくりをする遠隔営業サービス「TIMELY」にて、営業改革を後押している。

詳しくは「インサイドセールスの専門家」をご覧ください。

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