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- テレワーク時代の営業改革とは(後編)(藤崎 健一)
テレワーク時代の営業改革とは(後編)(藤崎 健一)
- 2020/10/16
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アクセス埼玉2020年9月号(埼玉中小企業産業公社発刊)掲載記事にから一部転載(執筆:藤崎健一)
|「オンライン営業」に取り組む昇降機メーカー
オンライン営業を導入した昇降機の製造販売をしている中小企業の事例を紹介します。営業人数は全国で10名。特定の大手機械工具商に依存する営業手法なので、特定の販売代理店以外のエンドユーザーとの接点が少ないです。必然的に、営業活動は受け身に成らざるを得なく、販売代理店手数料が利益を圧迫します。
2017年、販売代理店とエンドユーザーとの接点量の拡大と商談機会の拡大を目的に「オンライン営業」へ取り組みを開始しました。
重点的に取り組んだ三つの活動を紹介します。
- コミュニケーション基盤となるリスト整備
- 「御用聞き営業」の具現化
- 商談取りこぼし防止と商談機会の拡大
| コミュニケーション基盤となるリスト整備
オンライン営業を効率良く稼働させるための必須条件は、リストです。
いわゆる「顧客台帳」です。オンライン営業担当は、顧客台帳を見ながらお客様とコミュニケーションします。
過去の販売実績や接触履歴がありますと、お客様とのコミュニケーションも厚みを増します。
オンライン営業担当がお客様からヒアリングした内容は次々とリストへ追加します。
営業担当は、オンライン営業担当がコミュニケーションした履歴やヒアリングしたお客様の状況や課題などを閲覧し、商談・提案することになります。
名刺、納品書、資料送付先、問合せなど、会社内に散在していた情報をデジタル化し一本化しました。
情報を一本化することで、1万社程度の顧客台帳が完成し、未取引の見込客、既納品客、継続取引(保守点検)の三つの顧客に区分されました。
| 「御用聞き営業」の具現化
御用聞き営業の役割は、お客様とのコミュニケーション量を拡大することと、お客様の状況や課題をヒアリングし、リクエストをいただくことです。
コミュニケーション量の拡大では、お客様のお役に立つ業界情報を定期的に提供します。
売り込みでなく、「お客様に役立つ情報」がポイントです。
売り込みでは、定期的な接点を保つことができないからです。
具体的には、「業界NEWSメール」を作成し、配信します。
また、新製品情報、展示会情報、導入事例などの情報も提供し、お客様との接点量を拡大します。
ターゲット別に情報を変えることで、さらに効果的なコミュニケーションにすることができます。
さらに、お客様からのリクエストを受け付ける接点、つまり、受付フォームをホームページに設置します。
問合せ窓口を設置している企業は多いですが、お客様がリクエストしやすいように、カタログ請求・内覧会参加依頼・見積もり依頼・図面作成依頼・業界NEWSメール配信依頼など、さまざまな接点をつくりました。
疎遠だった方が新製品を知って展示会へ参加いただいたり、工場の新設計画を検討している方から図面設計依頼が入ったりと、お客様とのコミュニケーションを多くすることで、さまざまなリクエストが入ってくることとなります。
| 商談取りこぼし防止と商談機会の拡大
お客様からリクエストをもらっても商談につながっていない、商談しても具体的な提案に至っていないなど、商談が停滞するケースがあります。
せっかく発掘した商談を取りこぼすのはもったいないです。
商談が停滞しないように、オンライン営業から、担当営業へお知らせし、商談を促します。
同時に、お客様へ商談に対する満足度をヒアリングし、お客様の要望を引き出します。
このような活動で、取りこぼしを防止します。
また、納品後は追加注文のチャンスです。
納品後60日後に、お客様へ状況確認すると同時に、担当営業へフォローアップ商談を促します。
さらに、失注したお客様ともオンライン営業がコミュニケーションを継続します。
お客様の状況はいつどのように変化するか分かりません。
しかし、コミュニケーションをやめてしまえばノーチャンス。
失注したお客様とも接点をつくっておくことで、商談が復活することが多いのです。
このように、コミュニケーション基盤の台帳をつくり、オンライン営業がお客様との接点量を拡大することにより、オンライン営業から供給する商談件数が月間数十件に伸び、1人当たりの商談件数は1.5倍程度となりました。
特定の機械工具商に依存していた営業から、設計事務所や工務店からの依頼やエンドユーザーからの直接依頼も増加することができました。
エンドユーザーへも主体的に営業活動を実施することができるようになった結果、営業利益率が2年間で4倍へ向上しました。
| オンライン営業の将来像
わずか4カ月で、経営環境は大きく変わりました。
アパレル業界では、店舗の数を増やすことが競争を優位にする常じょうとう套手段でしたが、オンワードをはじめ多くの企業が店舗の閉鎖を発表し、オンライン店舗へとシフトしています。
営業も同様に数の論理でなく、コミュニケーションの量と質が勝敗を分ける時代へとシフトしています。
従って、コロナ禍は、営業人数が少ない中小・ベンチャー企業が、大手企業に匹敵する営業力を持つことができるチャンスでもあります。
今後は、対面無しのオンライン商談で成約する件数も増加しますので、営業エリアのボーダレス化が進みます。営業拠点が無くても全国区、またはグローバルでの営業も可能になります。
現に、オンライン商談サービスを提供している弊社では、コロナ前は、1都3県に限定していましたが、現在では、営業対象エリアを全国へと広げています。営業拠点無し、出張無しでサービス提供を開始しています。
さらに、営業無しでも営業できる可能性も芽生えつつあります。
お客様と信頼関係をつくり、お客様の状態を知ってさえいれば、提案と交渉を他社へ委ねることができるようになります。
従来は営業活動を代理店へ依存しましたが、営業活動は自社が行い、代理店へデリバリーや保守点検を依頼します。このような営業の逆転現象も夢ではありません。
| 今やっておくべきこと
コロナ禍で営業活動をする期間は、今後も1年余り続くと考えられています。
コロナ前の環境に戻ることは無いと考え、この環境をチャンスに変えるべく、「オンライン営業」の対応をすべきです。
「オンライン営業に取り組む昇降機メーカー事例」で説明した通り、実施すべきは、お客様との接点の量の拡大に向けた三つの取り組みです。
- コミュニケーション基盤となるリスト整備
- 「御用聞き営業」の具現化
- 商談取りこぼし防止と商談機会の拡大
お客様とのコミュニケーション量と営業結果は比例関係にあります。
お客様とのコミュニケーション量が多ければ営業機会は多くなり、コミュニケーション量が少なくなれば営業機会は減少します。
前編では、急増するオンライン営業を成功させるポイントをご紹介しました。
| 前項概要
テレワーク時代の営業改革(前編)
- 急増するオンライン商談
- 「御用聞き営業」と「オンライン営業」の違い
- 「オンライン営業」成功させるポイント
- 米国で進むオンライン営業と営業の分業化
| コラム執筆者
インサイドセールス なら 対面の営業がやり難くてお客様との接点が減ってませんか? 藤崎 健一(フジサキ ケンイチ) 株式会社カレン 代表取締役 株式会社カレンにて、お客様との関係性を構築・強化する「Eメール・マーケティング」「ブログ・マーケティング」等のサービスを開発・提供。対面営業がし難い環境下でもお客様との接点を作り、関係づくりをする遠隔営業サービス「TIMELY」にて、営業改革を後押している。 詳しくは「インサイドセールスの専門家」をご覧ください。 |