テレワークで社員は育てられるのか?人材育成のニューノーマル時代が到来

ニューノーマル時代のテレワーク

「部下を育てる」というと、あなたはどんな風景を思い浮かべるでしょうか?

机を隣り合わせにして教えて、わからないことがあれば横を向いて聞ける環境。
新人研修や管理職研修といえば、会議室に集まって受講する風景。

これらの風景を想像するのはごく自然なことです。なぜなら、私たちは毎日出社して仕事することが当たり前だったからです。

しかしながらテレワーク時代においては、今思い浮かべたような「リアルで教える場」をふんだんには用意できません。テレワーク時代は、前提を取り払ってニューノーマルな人材育成の方法を考える必要がありそうです。

では、直接対面しない環境で社員をどのように育成していけばよいのでしょうか。

「育てる=ずっと見ている」だった

業務において必要な知識やスキルを上司から部下へ教えるOJT、そして業務から離れた場で学ぶOff-JTも、そのほとんどは対面でのコミュニケーションが主な方法でした。近年ではOff-JTにeラーニングや動画学習を取り入れる会社も増えてきましたものの、Off-JTのごく一部に限定している場合がほとんどです。

つまり、教える人も教わる人も、お互いの様子が常に見える環境で人材育成が行われてきたのです。

部下の様子が常に分かるからこそ上司は安心でき、部下も上司に見られているからこそがんばって学んだ側面は否めないでしょう。お互いの様子が常に見えることは、精神的な安心感とモチベーション維持に一役買っていたのです。

では、お互いの様子が常に見えるわけではないテレワークの環境で、これまでと同じように人材育成ができるのでしょうか。

テレワーク時代、どんな人材を育成すればいい?

教える人が教わる人の様子をずっと見られない環境においては、教わる本人が自分でモチベーションを維持し、主体性を持って学ぶことが必要になります。

ここ半年〜1年の間、オンライン教育のノウハウが世界中で共有されており、モチベーションを下げずに学ばせる方法や分かりやすい教え方のアイデアが飛び交っていますが、すべての企業がその手法を取り入れるのはもう少し先のことになりそうです。

このような状況を踏まえると、多くの会社がまず目指すべきは「自律的人材」の育成ではないでしょうか。自律的人材とは、主体的な行動を積み重ねて課題を自ら発見し、解決に導く人材と定義します。

テレワーク時代は働く場所だけでなく、仕事の進め方も以前とは変化します。上司から部下へ細かくタスクの指示をされることは減り、社員1人ひとりが仕事の進め方から考えて動かなければならない環境になったのです。

自律的人材が多くいる組織では無駄なコミュニケーションが起きることなく、仕事での価値を発揮することに集中できます。逆に、指示に従って与えられた役割をこなそうとする社員が多い組織では、上司は詳細な指示出しに時間が奪われてしまうのです。

テレワーク時代の会社の成長は、社内に自律型人材がどれだけいるかに左右されるともいえるでしょう。

自律的人材をどうやって育成するか?OJT編

OJTを通して、自律的人材を育成するためのポイントを考えていきたいと思います。多くの場合でOJTの育成対象になる、20代の若手社員にとっての「自律的」とは

|自分の頭で仕事の進め方を考えて実行できる人

|今の仕事の進め方やアウトプットに満足せず、さらに良くするための方法を考えようとする人

ではないでしょうか。30代以上の中堅社員になってくると、部門外のリソースも使って事業を成長させたり、部門や会社の体制や方針への提案ができたりするレベルが求められるでしょう。

OJTを通して若手社員を自律的人材にしていくには、仕事の進め方そのものから考えてもらう、あるいは上司と一緒に考えるプロセスを経ることが重要です。仕事とは言われたことをその通りにやるものではなく、進め方も自分で考えてこそ仕事であるという基本的な姿勢をまず習慣づけることがOJTの第一歩となります。

部下にある程度のスキルが身についてきたら、その後のステップとしては

|自分の考えに加えて、他者の意見も取り入れアウトプットを出す

|成果を出すために、適切な人を巻き込んで一緒に実行する

|今の業務に対する改善案を出してもらう

といったことに取り組むと良いでしょう。いずれのステップにおいても、部下自身が自分の頭で考えて取り組むことが前提になっています。仕事へのスタンスがまだ固まっていない若手の時期だからこそ、仕事とは自律的に動いて当たり前という意識付けをすることが重要です。

自律的人材をどうやって育成するか?Off-JT編

人間、誰しも必要性を感じない学習はやる気が起きないものです。子どもだけでなく、大人になっても同じです。

これまでのOff-JTはリアルな場での研修が主体であったため、誰かに見られている状態で学んでしました。上司や人事部の目があることが学ぶモチベーションの一端を担っていたのです。

これからのテレワーク時代は、オンラインでOff-JTを行うことが主体になっていくでしょう。eラーニングはますます普及し、オンライン上で意見交換をしながら学ぶ研修も今後広がることが見込まれます。

誰にも見られていない状況ですので、学ぶモチベーションを上げ、維持するためには他の手段が必要になるでしょう。

経営者や人事部などOff-JTの企画担当者は、学ぶテーマや学び方を決めるだけでなく、社員が学ぶ必要性を理解し、モチベーションを保つための施策もセットで考える必要があるのです。一例として、

|Off-JT前に上司と面談をし、業務課題やキャリアプランにOff-JTの内容をどう活かすかを考える

|毎回のOff-JTにおける目標設定、結果の振り返りを自ら行う

|学習内容を深く理解するための工夫を自分で考えて実行する

などの仕掛けを取り入れると良いでしょう。

施策が増えることになり手間はかかりますが、学んでも何も身に付かなかったという結果には陥りにくくなります。

人材育成は長い目で見ることも大事

OJT、Off-JTともに認識いただきたいことは、人材育成は目に見える成果が短期的に出るものではないということです。覚えることが主体となる業務知識は短期的に身につくものもありますが、特に長期視点で見るべきなのはマインド面です。社員が仕事に取り組む姿勢や学ぶ姿勢が1ヶ月でガラッと変わったということは起きません。

むしろ、最初は新たな人材育成の方針に対して、社員から反発が起きるかもしれません。経営トップからの社員への説明を、何度も粘り強く行いましょう。

そして売上実績のように短期成果を求めたくなるものですが、短期的な変化が見られなくともそこで施策を止めず、人材育成を続ける決断をすることも必要です。

まとめ

テレワーク時代の人材育成のキーワードとして「自律的人材」をご紹介しました。テレワークとは、働く場所が限定されない自由を社員に渡す引き換えに、社員1人ひとりが自分で成果を出さなければならない責任を持つ働き方です。

テレワーク時代でも成長し続ける会社になるための人材育成を、ぜひこのタイミングで検討してみてください。

執筆者


miyo
テレワークソリューションバンク 編集兼ライター
Miyo Takako(みよ たかこ)

人材・キャリア系の記事を中心にライターとして活動。コラムやインタビュー記事を多数執筆している。経営者や大企業執行役員へのインタビュー経験も持つ。本業では人材業界で10年以上勤務し、企業の人材育成や組織開発の提案、スメントツールの企画、講師、学習コンテンツ開発に従事。

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