テレワークを来年以降も続けるなら、人事制度の見直しも必須!

見直したい4つのポイント「評価・採用・育成・配置異動」

人事制度の見直し

2020年春、新型コロナウイルス感染症の流行が一気に広がり、大企業のみならず中小企業でもテレワークの導入が進みました。コロナ禍が未だに続いていることもあり、テレワークは一過性のものではなく新たな働き方として定着しつつあります。

あなたの会社では、来年以降もテレワーク中心の働き方を続ける予定でしょうか。その場合には、ぜひ人事制度の見直しをしていただきたいと思います。

なぜ人事制度の見直しが必要なのか?

採用・配置・評価・育成といった人事制度は根底に「共通する考え方」があり、その考え方に各制度が整合していることが重要だからです。この整合性が取れていないと、経営者として目指す組織像が曖昧になりますし、社員の納得感も醸成しにくくなります。

2020年、多くの会社でテレワークが導入され労務面に変化が起きましたが、他の人事制度は旧来の働き方を前提としたままになっていないでしょうか。次年度を迎える前のタイミングで、自社の人事制度をぜひ見直してみてください。

見直しにあたっては土台となる「共通する考え方」、つまり経営者として目指す組織像から再考してはいかがでしょうか。その上で、目指す組織像を実現することに各人事制度が繋がっているのかチェックすることをお勧めします。これから人事制度を整えようとしている段階であれば、テレワーク中心の働き方を前提とした制度を設計していきましょう。

目指す組織像を考える際は、会社と社員の関係性の観点も考えることが重要になります。その際に役立つ知識が雇用形態のパターンです。ここでは代表的なものをご紹介します。

メンバーシップ型:「人に仕事を付ける」雇用形態。仕事内容や勤務地を限定せず職務を割り当てる。日本企業に多く見られ、終身雇用と年功序列を前提とする。
ジョブ型:「仕事に人を付ける」雇用形態。仕事内容や勤務地、責任範囲を明確にした職務に対して適切な人を割り当てる。欧米企業に多く見られる。
ロール型:継続雇用を前提としつつ社員個人の職務を明確にし、その職務での成果に対して報酬を支払う雇用形態。

それでは、理想の組織像の実現に向け、人事の主要な制度である採用・配置・評価・育成において、緊急度が高いと筆者が考える順に見直しのポイントを見ていきましょう。

見直しポイント①:評価

テレワーク導入とともに、社員が気になっているであろう「評価」から考えていきましょう。社員は「テレワークだと上司は自分の仕事のプロセスを見ていないが、正当に評価されるだろうのか?」と不安に思っている可能性が高いからです。

人事評価は、社員の今の働きぶりを評価し、その評価内容を報酬や配置などの人事管理に繋げる目的を持ちます。業績評価、能力評価、プロセス評価など複数の評価項目から成り立っていることが一般的です。

これらの評価項目のうち、テレワークを導入した会社がまず見直していただきたいのはプロセス評価です。テレワークでは、社員の日々の行動や仕事の進め方、態度が見えにくくなります。その一方で、プロセス評価がテレワーク導入前と同じ評価基準であっては正当な評価がしにくくなるでしょう。評価項目を変える、あるいはプロセス評価そのものの割合を下げるなどの見直しが必要になります。

そして、評価基準を変更する際に社員が納得できるよう説明することも重要です。資料やメールでの周知のみならず、経営トップや人事部門トップなどしかるべき立場から社員へメッセージを発信することが望ましいでしょう。経営陣から説明する行為によって、制度変更の重要性を社員が感じ取ることもできます。「誰から」メッセージを発信するかによって、聞き手である社員の印象は大きく変わります。

さらには社員1人ひとりが新制度への理解を深めるられるよう、社員と上司とで対話するプロセスも取り入れたいですね。

見直しポイント②:採用

コロナ禍においても社員の採用を継続している会社は、その方針を再考してもよいかもしれません。

テレワークの働き方が社内に定着しきれていなく、コミュニケーションの齟齬が問題になっている状態であれば、この半年〜1年は自律的に動ける即戦力を中心に中途採用する方針にしてはいかがでしょうか。

なぜなら、社員を採用しても十分に育成する余裕が組織にないからです。まずは社内の体制整備を優先し、新たに採用した社員が活躍できる土壌を作りましょう。

ただし即戦力はそれなりに人件費も高くなります。コストの問題からジュニアレベルを採用するのであれば、自分で自律的に仕事を生み出した経験がある人がよいでしょう。

テレワーク中心の働き方では、入社直後のオンボーディング(新たに入社した社員の受入・即戦力化へのサポート)も難しくなります。新たに入社する社員は周囲の様子が見えにくい状況に不安を抱えることが予想されます。テレワーク時代のオンボーディングは、会社への信頼感を持ってもらうための対話を大切にすることが重要になります。

見直しポイント③:育成

テレワーク中心であっても、経営者としては社員が着実に成長できる育成環境を作りたいものです。そのためには、「ツールの活用」と「風土作り」がポイントになります。

ここでは、育成を

・OJT(現場で仕事をしながら上司が部下へ指導する)
・Off-JT(職場外研修で、知識やスキルを習得する)

の2つに分けて考えてみます。

日常業務にかかわるOJTを効果的にするためには、上司・部下ともに新たな工夫が必要になります。テレワークは、教えられる部下にとっては「隣の先輩にちょっと聞く」ことがしにくいデメリットがあるからです。

このデメリットはツールでカバーしましょう。チャットツールや社内用テレビ会議システムなどを導入し、「気軽にちょっと聞ける」環境を作るとよいでしょう。ツールを導入するだけでなく、上司側が「いつでも連絡してきてOK」と部下に伝え、気軽にコミュニケーションができる風土を作ることも重要です。

Off-JTは、多くの会社で集合研修の形式で行うことが当たり前でした。ところが2020年、コロナ禍でOff-JTを中止あるいは延期している会社が多くあります。

今後、Off-JTを計画する際は「リアル or オンライン」「同じ時間に集合 or 自主学習」のマトリクスで、施策ごとに学習方法を分けて考えることをお勧めします。例えば、

・基本的な業務知識:オンラインの自主学習
・心の内面を話すことが含まれるような研修(リーダーシップや経営トップとの対話など):リアルでの集合研修

といった考え方があります。オンラインで学習するサービスも積極的に取り入れ、コロナ禍でも社員が学び成長する機会を用意していきましょう。

見直しポイント④:配置・異動

社員の定期異動を検討する際は、社員1人ひとりの適性や意向を従来より慎重に見極める必要がありそうです。適切な配置を実現するために、中規模企業であれば社員と上司で、小規模企業であれば経営者が社員全員とじっくり対話する機会を設けてはいかがでしょうか。

テレワーク導入後、多くの経営者や管理職の新たな悩み事になっているのが「メンバーが何を考えているのか分からなくなった」ということです。仕事中の様子が見えないために、各メンバーの仕事のプロセスやキャリアプランを上司が把握しにくくなっているのです。対話などの「場」を意図的に設けて部下の把握に努めましょう

社員から異動希望を募っている場合、テレワーク中心の働き方だと従来より異動希望が出にくくなることが予想されます。テレワークによって、他の部門の様子が見えにくくなっているからです。

社員の異動希望を促して社内ローテーションをさせたい場合は、経営陣や人事部門が各部門の様子を伝える触媒の役目を担うとよいでしょう。

テレワーク環境下においては、配置・異動の施策にも一工夫が必要です。

まとめ

テレワーク中心の働き方に移行したことで、目指す組織の在り方が従来と変わることもあるでしょう。経営者としては、まず「これからどのような組織を作りたいのか?」を明確にしたいものです。

その上で、現在の人事制度のうち目指す組織と整合が取れている制度、取れていない制度の洗い出しから始めてみてはいかがでしょうか。

テレワークへの移行をきっかけに、さらに成長する会社になるべく人事制度のブラッシュアップにぜひ着手してください。

執筆者


miyo
テレワークソリューションバンク 編集兼ライター
Miyo Takako(みよ たかこ)

人材・キャリア系の記事を中心にライターとして活動。コラムやインタビュー記事を多数執筆している。経営者や大企業執行役員へのインタビュー経験も持つ。本業では人材業界で10年以上勤務し、企業の人材育成や組織開発の提案、アセスメントツールの企画、講師、学習コンテンツ開発に従事。

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